8b4d27e2.jpg  今月の9日に行なわれる東京交響楽団の定期演奏会。それは第617回という回数となっている。

 1961年10月9日。この日も東京交響楽団の定期演奏会が行なわれている。
 この第116回定期で、伊福部昭(Ifukube,Akira 1914-2006 北海道)の「ピアノと管絃楽のための『リトミカ・オスティナータ』(‘Ritomica ostinata’ per pianofoete ed orchestra)」が初演されている。

 指揮は上田仁。ピアノの独奏は金井裕。

 そのときのライヴ録音が今回CD化された。もちろん、でも残念ながらモノラル録音である。
 とはいえ、「モノラルのハンディ何するものぞ」という、圧巻の演奏だ。

 本作品については過去に取り上げている文(下記の各盤の記事)を参照いただければと思うが、この初演ライヴはこれまでディスクで耳にしてきた(そして、私が札響の演奏会で聴いた)ものと少し異なる。というのも、LP時代の1971年に録音された小林仁/若杉弘盤以降の演奏は改訂版(1971)を用いているからだ。
 つまり、初めて私たちは初版の演奏を耳にすることができたのである。

 初演時ライヴの収録時間は22分36秒。
 現在出ているほかの録音(もちろんすべて改訂版による)の演奏時間は、

 小林盤(1971) 21'20"
 藤井盤(1983) 19'34"
 サランツェヴァ盤(2004) 21'33"
 山田盤(2p,2010) 21'54"

となっているので、初演時の演奏はいずれのものより長い。
 初演ライヴはやや速めのテンポで進むが、改訂版でカットされた箇所の分だけ若干長くなっているのだろう。

 「リトミカ・オスティナータ」は、伊福部が書いたのちの単一楽章による協奏作品、ヴァイオリン協奏曲第2番や「ラウダ・コンチェルタータ」、「交響的エグログ」と同様、大きく急(A)-緩(B)-急(A')という三部構成。

 Bはさらに緩a-急b-緩a'という構成となっているが、急(b)の終りには、改訂版にないマーチ風のメロディーが出てくる。このマーチが改訂版にない大きな相違点だ。
 改訂版しか知らなかった身にとって、このマーチの出現は-まさに特撮映画音楽の世界-唐突だが、慣れということだけではなく作曲者がカットしたのがわかる気がする。

 それにしても、ここで独奏を務めている金井裕が巧い!

 ライナーノーツにある金井へのインタビューによると、当時金井は大学を卒業したばかり。この日のプログラムは、「リトミカ」のあとにケンプの登場によるブラームスの第1コンチェルトが控えていたそうで、想像するに聴衆の多くが初演のこの作よりもケンプの演奏に期待を寄せていたのだと思う。
 ケンプの“前座”の金井の演奏、まだ駆け出しのピアニストの演奏はしかし、本当に見事だ。
912dbcf5.jpg  会場からの拍手が熱いのは、作品と演奏の両方に対してだと思う。

 このCDには片岡良和と石井歓の作品も収めれているが、それらについては機会をみてあらためて取り上げたい。

 ユニヴァーサル・ミュージック(TBS VINTAGE CLASSICS plus)。

 東京交響楽団は今年の5月31日に伊福部昭生誕100年記念の演奏会を開く。指揮は井上道義。
 同じ日、札幌交響楽団も定期演奏会でオール伊福部プロをやる。札響の指揮は高関健である。

 話は全然変わるが、先日小銭入れを開けると残金が666円だった。
 なんか嫌なことが起こる前兆のようでいやだったので、あわてて105円のガムを買った。

 そんななか(ってことは関係ないけど)、耳あてが届いた。
 折りたためるのが便利。でもすぐ壊してしまいそうなのが不安。
 その姿は丸まってふて寝しているイタチの子供のようだ。