先週の出張では車内誌もちらっと読んだが、そんなのすぐに読み終えちゃうわけで、浅田次郎の「終わらざる夏」(集英社文庫)の上巻(往路)と中巻の前半(復路)を読んだ。
「『ペテロの葬列』はどうなったんだ」って?
いや、まだ途中です。すっごく面白いんだけど、あれを持って歩く体力も根性も私にはないわけです。
いまの総理やら誰やらの危なっかしい発言や暴走気味の進め方―それは理屈では正しいものもあるのかもしれないが、正しけりゃなんでもOKってことじゃないだろう。相手があることなんだから。相手の感情も考慮できないようじゃ子供じみてている。今の総理はあたかもジャイアンのようだ―で、どーも世の中にいやぁ~な空気が漂っている(にしても、百田尚樹氏にはがっかりした。いったいどれだけ偉いんだ?)。
そんなときに戦争にまつわる小説を読むのは、「こんな理不尽な世の中だったのか」と不安感が増すのだが……
上巻のあらすじは、
1945年、夏。すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。東京の出版社に勤める翻訳者編集者・片岡直哉は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。何も分からぬまま、同じく召集された医師の菊池、歴戦の軍曹・鬼熊と、片岡は北の地へと向かった。―終戦直後の“知られざる戦い”を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作、待望の文庫化。第64回毎日出版文化賞受賞作。
中巻のあらすじは、
片岡の一人息子・譲は、信州の集団疎開先で父親の招集を知る。譲は疎開先を抜け出し、同じ国民学校六年の静代とともに、東京を目指してただひたすらに歩き始めた。一方、片岡ら補充要員は、千島列島最東端の占守島へと向かう。美しい花々の咲き乱れるその孤島に残されていたのは、無傷の帝国陸軍、最精鋭部隊だった。― 否応なく戦争に巻き込まれていく人々の姿を描く著者渾身の戦争文学。
その中巻の最初に次のような場面がある。
……午後は三十分の道を「元寇」を唱いながら歩いて、国民学校の音楽室を使わせてもらった。どうしたものかと先輩に相談したするつもりでいたのだが、蓄音機とレコードを借りてモーツァルトを聞かせ、ピアノを伴奏して唱歌を唱わせているうちに、すっかり気分が萎えてしまった。…… さて、このとき教師、いや“訓導”がかけたモーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756-91 オーストリア)の楽曲は何だったのだろう?
そんなのわからないわな。
じゃあ勝手に、先日書店でBGMで流れていたのをたまたま耳にしたファゴット協奏曲変ロ長調K.191(186e)(1774)を。
夜に疎開先の寺の本堂で聴くにはあまりふさわしくないかな……
作品についてはこちらをご覧いただくとして、今日はヴァロンのファゴット、コープマン/アムステルダム・バロック管弦楽団の、ますますもって寺の本堂で聴くにはあまりに屈託のない心地よい演奏を。
1993年、寺ならぬドープスヘジンデ教会での録音。エラート。
村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」(文藝春秋2013年12月号掲載)の中頓別騒動。
問題の箇所は、
みさきはそれを聞いて少し安心したようだった。小さく短く息をつき、火のついた煙草をそのまま窓の外に弾いて捨てた。たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう。
という部分だ。
村上春樹はすぐに抗議に対して謝意を発表したが、それは冷静で好感がもてる内容のものだった(百田氏の発言とはえらい違いだ)。
単行本にするときには中頓別の名は変えるということだが、残してくれてもらった方が良いのではと、私は思ってしまう。
十二滝村のように仮名をつけられるより、ダイレクトに町名のアピールになるだろう(アピールする必要がないのかもしれないけど)。
それに誰も、中頓別ではタバコを投げ捨てるのが普通、とは思わないんじゃないかな。
そう思いませんか?
新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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中頓別が町として抗議したわけじゃないんですが、そんな目くじらをたてるようなことじゃないと私は思います。これが逆に町としての話題作りだったりして。だって、抗議するならもっと早くできたはずですから。