6f29629c.jpg  誕生日だ。高島彩の。

 でも、私の誕生日でもある。こんなに風が強い悪天候の日にもかかわらず……

 そこで、全然誕生日とは関係ないがバッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の「ミサ曲ロ短調」BWV.232。

 偉大なる作品なのである。私はちっとも偉大じゃないが、でも敬虔な気持ちでさらに1つ歳を重ねようじゃないか!

 数々の賞賛の声をご紹介しよう。残念ながら私へ、ではなく、ロ短調ミサへの。

 バッハ通はよく、《マタイ受難曲》より《ミサ曲ロ短調》の方がすごい、と言う。たしかに、「究極」とか「永遠」とかいう言葉がいっそうぴったりくるのは、この《ミサ曲ロ短調》の方であろう。
 この曲はラテン語の典礼文に作曲されているため、けっして親しみやすいとはいえない。だが、私は、だからこそ歌詞を重んじて、じっくりと聴きこんでほしいと思う。きっと多くの発見があるはずだ。

 礒山雅「J.S.バッハ」(講談社現代新書)

 ロ短調ミサは実用のミサとして書かれたわけではない。プロテスタントの教会で重要な任務についていたバッハがカトリックの典礼音楽であるミサ曲を書く必要はないのだから。それに、誰かに捧げるために書いたわけでもない。つまり、バッハが自分自身のために書いた、この時代には珍しいアーティスティックな作品だ。
 鈴木淳史他「クラシックCD名盤バトル」(洋泉社新書)

 熱心なルター派の信徒であったバッハが晩年に纏め上げたカトリック式のミサ曲は、宗派を超えた音と祈りの小宇宙である。
 福島章恭他「クラシックCDの名盤」(文春新書)

 《ミサ曲ロ短調》はバッハの最も完成された境地を示す最後の作品となったばかりでなく、同時にミサ曲制作の領域で彼の培った創作経験の総括的集約と、パレストリーナからフックスにまで及ぶあのカトリック教会音楽様式の神髄たる「古様式(stile antico)」の、ミサ曲ジャンル史上極めて独創的な開花でもあった。つまりこの《ミサ曲ロ短調》は、モンテヴェルディがかつて「第一作風(様式)」と呼んだあの様式史の系譜をその長大なルーツとして出現したのだ。
 W.フェーリクス(杉山好訳)「バッハ 生涯と作品」(講談社学術文庫)

 曲は4部に分かれている。

 第1は「キリエ,グローリア(Kyrie,Gloria)」。12曲。
 1722年から'33の間に書かれた。
 バッハがドレスデンの宮廷作曲家になろうとして、1733年に請願書をつけてザクセン選帝侯爵フリードリヒ・アウグスト2世に送ったもの。

 第2は「ニケーア信経(Symbolum nicenum)」。「クレド(Credo)」である。9曲。
 作曲は1747年から'49年の間。

 第3は「サンクトゥス(Sanctus)」。1曲(井上和男編「クラシック音楽作品名辞典」による。次の「アニュス・デイ」の第1~3曲を「サンクトゥス」に含めることもある)。
4056b398.jpg  1724年作曲。

 第4は「オザンナ,ベネディクトゥス,アニュス・デイ,われらに平安をあたえたまえ(Osanna,Benedictus,Agnus Dei et Dona nobis pacem)」。5曲。

 もたれることなく清澄な名演、レオンハルト指揮ラ・プティット・バンド、オランダ・コレギウム・ムジクム・バッハ合唱団によるものを。
 独唱は、プールナール(S)、ロランス(Ms)、ヤーコプス(C-T)、エグモントとデル・カンプ(Bs)。

 1985録音。ドイツ・ハルモニア・ムンディ。

 よし、この日の出のように頑張るぞ!←意味不明。