68c233cd.jpg  インバル/東京都交響楽団によるマーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の交響曲第5番嬰ハ短調(1901-02。その後たびたび管弦楽配置を変更)。

 いやぁ、なんといって良いのだろう……
 ため息が出るような、安直に使ってはいけないが“完璧”“完全”という言葉がぴったりの演奏だ。

 雄弁だが内声が充実している。現代的だが人工的ではない。豊かな響きだがスマートで緻密……
 と、レコ芸の批評に出てくる褒め言葉を羅列したくなるほどだ。
 とっても立派だ。
 聴くたびにため息が出る(今のところ)。

 しかし感動する演奏かというと、それは微妙に違う。
 感動というよりも、ただただ感心する。京福、いや敬服する。

 興奮するタイプのものではない。
 知的な心地よさがある。
 容姿端麗、才色兼備のすっごい女性を目の前にしているよう。
 が、邪魔とは言わないが、「うっ!」とか「ヨッ!」とか「おりゃぁぁぁ~っ!」という(あくまでイメージです)インバルのうめき声も随所に混じる。

 そしてまた、整い過ぎているが故か、終楽章は“火力不足”の感は否めない。
 でも、この喜びは実際に耳にしないとわからないだろう。
 いやぁ、驚いた。

 2013年ライヴ。EXTON。
 私は聴いてないが、メイン・マイクロフォンによるワンポイント・レコーディング盤も出ている。