f033f03f.jpg  小和田雅子さんと川嶋紀子さんの運命的なつながり、かどうかはわからないが、当時こういうことに気づき教えてくれた人がいた。

      
      

 このようにお二方のご結婚前の姓名の文字を交互に読んでも、オワダマサコとカワシマキコとなる。

 凄い!私は「うぉぉぉぉ~っ!」と驚いたものだ。
 これは単なる偶然なのだろうか?っていうか、これって有名な話題だったんでしょうか?

 朝吹真理子の「きことわ」。
 皇族に関する小説ではまったくないが、タイトルでそのことを思い出したのだった。

 「きことわ」は第144回芥川賞受賞作品。
 あらすじは、

 貴子(きこ)と永遠子(とわこ)。葉山の別荘で、同じ時間を過ごしたふたりの少女。最後に会ったのは、夏だった。25年後、別荘の解体をきっかけに、ふたりは再会する。ときにかみ合い、ときに食い違う、思い出。縺れる記憶、混ざる時間、交錯する夢と現。そうして境は消え、果てに言葉が解けだす―。やわらかな文章で紡がれる、曖昧で、しかし強かな世界のかたち。小説の愉悦に満ちた、芥川賞受賞作。

というもの。

 なぜ私がこれを買ったか?
 1つは先日紹介した新聞記事で第1位に選ばれていたから。
 2つ目は文庫本(新潮)になっていて、定価が税別370円と安かったから(こう考えるとタバコってやたら高いものだ)。

 その新聞書評に、「文体のたおやかさは格別にして唯一無二!」とあって、私としてもムニムニしてみたいと思ったのだった。

 小説の中に、

 Deutsche Grammophonのレコード

っていう記述が出てくる。

ea373bae.jpg  いまでももちろんグラモフォンのレコード(CD)はあるが、私にとってグラモフォンといえば高級ブランド、クラシック・レーベルの象徴だった。好きか嫌いかはともかく、有名アーティストを多く抱えていたし。まっ、その筆頭はなんといってもカラヤンだったわけだけど。

 学生の身分では廉価盤にしか手を出せないわけで、グラモフォンにも廉価盤はあったが、ほかのレーベルの廉価盤よりも高めの価格設定で、しかもたいした演奏でないものが多かった。
 だから私にとってグラモフォンは憧れの縁遠いレーベルだった。
 CD時代になってもグラモフォンの廉価盤は、ほかが1200円とか1300円なのに、1800円とか全然廉価じゃないじゃんっていう強気の商売だった。

 鈴木淳史の「クラシック 悪魔の辞典【完全版】」(洋泉社)では、こう説明されている(ただしこの本の初版発行は2001年12月)。

 DG[ドイツ・グラモフォン]

 カラヤンを捕まえるまではペイペイだったくせに、今では権威を音に変えて出荷するレーベルとしてクラシック界に君臨。ほかのレーベルがジャケット・デザインに凝るために、レーベル・アイデンティティを徐々に縮小しているのに、ここだけは昔ながらの黄色いラベルを鎮座させておくという鷹揚さ。ただ、権威的だと言われているわりには曲者アーティストが多い。


 今はDGのディスクも他のレーベルとの価格ギャップはあまりなくなったが、それはユニバーサル・ミュージックの一員になってしまったってことが大きいんだろう。もう、グラモフォンだけを特別扱いはできないのだろう。ほかのレーベルも一緒になったのだから。

 では、グラモフィンのレギュラー盤のLPを、高校生のときに清水の舞台から飛び降りる気持ちで買った1枚。それもお好きではないカラヤン指揮によるものを。

 チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky 1840-93 ロシア)の「ロココ風の主題による変奏曲(Variations sur un theme rococo)」Op.33(1876)。

 実はこのLPを買った目的はこの曲ではなく、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。独奏はロストロポーヴィチで、オーケストラはもちろんベルリン・フィル。

 ドヴォ・コンの名盤と言われていたために西友西野店(当時)のミュージックショップ国原で買ったのだった。失礼ながら、こんな店でこんなLPを仕入れるなんて、担当者はかなりの勇気の持ち主か、マーケット・リサーチという概念がないか、カラヤン・ファンだったのだろう。でも、純な少年が買って行ってくれてよかったね。
 「ロココ風~」はB面のドヴォ・コンの第3楽章のあとに収められていた。

 ドヴォ・コンの方はここで紹介しているように、私としてはカラヤンが棒をフリフリしていることが悔しいが、でもこの曲のいちばんの演奏のように思う。録音は古くなっちゃったにもかかわらず……。だからCD時代になっても、やっぱり買っちゃったわけだ。
 で、たぶん(他の演奏をあまり聴いたことがないので、たぶん)「ロココ風~」にとってもこれは名演なんじゃないかと思う。

 なお、この曲はその名の通りロココ様式の主題と変奏だが、主題そのものはチャイコフスキーのオリジナルである。

 繰り返しになるが、カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏。チェロ独奏はロストロポーヴィチ。
 1968録音。イエロー・レーベルことグラモフォン。
 
 で、小説を読んでみてムニムニしたかって?
 私にはよくわからなかったな。
 たおやかと評される文章は、私にはタラタラに感じた。
 こう言っちゃ失礼かもしれないけど、途中で飽きちゃった。で、1/3を残したところで放り投げてしまった(←イメージ表現でございます。そのような乱暴なこと、ワタクシいたしませんで、きちんと本棚の上に静かに放置しております)。