470fa01a.jpg  4月のある金曜日(注:今日は、3月のある金曜日である)。

 この日の昼ごろ、3人の死刑囚が十字架を背負ってゴルゴダの丘にのぼり、自ら背負った十字架にはりつけになった。
 その中の1人がイエス。3つ並んだ十字架。イエスは真ん中だった。

 イエスが絶命したのは午後3時ごろ。

 日が暮れたあと、まだそこに居残っていた何人かの男たちは、上の者に指示されてイエスの遺体を十字架から降ろした。降ろされた遺体は亜麻布に包まれ、彼らによって近くの岩穴に運ばれた。そして中に収めたあと、穴は重い岩で塞がれた。
 この墓の入口にピラトは見張りをつけた。ピラトは最終的にイエスを十字架にかけることを決断した総督である。そう、見張りをつけたのだが……

 3日目の朝、イエスの最期を見届けたマグダラのマリア、聖母マリアの義理の妹で小ヤコブの母マリア・クレオパ、大ヤコブとヨハネの母であるマリア・サロメの、3人のマリアが墓のところに行ってみると、彼女たちに天使がイエスがよみがえったことを告げた。

 その後イエスは使徒たちの前に姿を現わし、一緒に食事をし、教えをのべ、40日後に昇天した。
 イースターから50日目。使徒たちは奇蹟を見る。
 聖霊降臨である。
 「皆が一堂に会していると、突然、激しい嵐の吹くような音が天から聞こえ、家中に響き渡った。すると、舌が分かれた炎のようなものが現われて、一人ひとりの上にとどまった。かれらは聖霊に満たされ、霊の語らせるままにさまざまな国の言葉で語りはじめた」(使徒行伝第2章)。 

 以上がイエスの死と復活、そしてイエス・キリストがユダヤ教徒から世界の救い主になったお話である。

 先日イオン・ショッピングセンターに行った。その際、真鱈とか冷凍ピラフを手にしたものの、気持ちが盛り上がらず買うまでには至らなかった。
 でも、ついでにセンター内の玉光堂という名前だけ見ると日本酒販売店のように思えなくもない、でも北海道民なら乳児以外知らない人はいないというくらい有名なCDショップがここにも店を出していて、しかもここはイオンであってコープさっぽろじゃないにもかかわらず、コープマンの「復活祭オラトリオ」のCDを買った。なんとなく話が見えてきたか?
   
 バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の「復活祭オラトリオ(Oster-Oratorium)」BWV.249(1725/改訂1732-35)。初演は(カンタータとして)1725年。詞はC.F.ピカンダーによるものと考えられている。10曲からなる。

 復活祭(イースター)はイエス・キリストが死刑に処せられたその3日後によみがえったことを祝う祭り。春分(3月21日)のあとの満月に続く日曜日がその日に当たる。
 ほれ、今日の春分の日にふさわしいと言えなくもない記事ではないか!

 「復活祭オラトリオ」はパロディーである。
 こう書くと、なにか小ばかにしてるんじゃないかと誤解されるかもしれない(そう誤解することを多少狙っている私がここにいる)。

 バッハは世俗カンタータの音楽をしばしば再利用して教会カンタータに使った。こういうやり方をパロディー手法というのである。

 「復活祭オラトリオ」(「急ぎ走りて,いざ来たれ(Kommt,eilet und laufet)」というタイトルも持つ)のもとになっているのは、1725年4月1日に初演された復活節用カンタータである。ただし、このカンタータにも元があり、それは1ヵ月半ほど前の2月23日に演奏された世俗カンタータ「逃れ去れ,消えうせよ,汝ら心のわずらいよ(Entfliehet,verschwindet,entweichet,ihr Sorgen)」BWV.249aである。
 「羊飼いカンタータ」とも呼ばれるこの世俗カンタータは、ヴァイセンフェルス公の誕生日祝賀用として作曲されたのだった。
 つまり、「復活祭オラトリオ」は「羊飼いカンタータ」のパロディなのである。

 なお、ピカンダーは実名をクリスティアン・フリードリヒ・ヘンリーツィといい、1728年にライプツィヒで自作の周年教会カンタータ台本集を刊行している。彼はバッハに自分の台本を使ってもらうことを期待したが、実際、バッハが作品で用いた台本の作者で最も起用されたのはピカンダーだという。

 コープマン指揮アムステルダム・バロック管弦楽団、同合唱団、ラーション(S)、マグヌス(A)、テュルク(T)、メルテンス(Bs)の演奏である。玉光堂で私が買ったのは。
 1988録音。エラート。

 昨日の夕方に車で自宅に移動。
 順調なドライブだった。そのときのエピソードについても触れたかったのだが、よく考えたら順調だったゆえに、みなさんが抱腹絶倒するような話題はなかった。が、しつこい私は数日のうちに話題にしてきっとあなたを笑顔にしてみせる。……って、このごろ流れているダイエーのCMみたいだな。