fcbcddf8.jpg  先日の新聞に、苫小牧の元男性教諭が中皮腫で死亡したのは、勤め先だった学校の石綿が原因で公務災害に当たる、という記事が載っていた。
 公務災害というのは民間でいうところの労災だそうだ。

 石綿……。アスベストと呼ばれることも多い。

 化学の実験でアルコールランプでビーカーを加熱するときなど、石綿つき金網を使ったものだが、そんなことより、私が低学年のころに通っていた浦河町の小学校は、天井一面に石綿が張って(吹きつけて?)あった。目的は当然のことながら、火災が発生したときに延焼を防ぐためだろう。

 あるとき、授業中にめりめりと(でも音もなく)ゆっくりその石綿がはがれ、下に落ちてくるということがあった。ああいうのってはがれはじめるとどんどんそれが広がっていくもので、私たちけなげな児童は、キャーッとかワァーッとか騒ぎながら、石綿のほこりで見通しの悪くなった教室で騒いでいたが(教諭も「あらあら」って程度の態度だった)、天井の半分くらいがコンクリートむき出しになったころ、こりゃ授業にならないなってことで、外に出た。
 石綿だから落ちてきてケガをするわけじゃないし、当時は誰も危険な物質だと考えもしなかったわけだ。

 あのとき、あの教室にいた私たち児童は、多かれ少なかれ吸ったはずだ。石綿を。
 クレンペラーみたいに口を大きく開けてた奴もいたはずだし。騒いだ反動でラジオ体操の指示並みに大きく息を吸った奴もいただろう。

 ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky 1882-1971 ロシア→アメリカ)のバレエ「プルチネッラ(Pulcinella)」(1919-20/改訂'47)。作品についてはこちらをご覧いただきたいが、ストラヴィンスキーが新古典主義のスタンスを明確にした最初の作品である。
 今日はクレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団による組曲版を。

 宮下誠氏はこの演奏を“即物主義的名演”と書いている(「カラヤンがクラシックを殺した」光文社新書)。

 即物主義的っていうのはよくわからない。が、独特な味わいの悪くない演奏。
 ペルゴレージ(1710-36)をはじめとする人たちが書いた原曲が、ストラヴィンスキーというレンズを通して現代風に表現されている作品だが、クレンペラーの演奏はペルゴレージが活躍した時代の風情のようなものを伝えてくれる。

 1963録音。TESTAMENT。