9fa38a97.jpg  それは先週の今日のことだった。

 いつもニコニコ現金払いをしているかかりつけの病院で、予想に反して私が新たなおビョーキを抱えていると宣告されたのは。

 男らしくなく、「本当にそうなのだろうか?もう一度検査をすれば正常値ということが証明されるのではないだろうか」と私はいまだに思っている。
 しかし、とにかく、これまでの高中性脂肪、高血圧、高尿酸血症に加え、境界型糖尿病というものが私の体に仲間入りした。歓迎していないのに……

 この1週間悶々とし、考えた。
 が、考えてもしょうがない。すっきりするために、今日の13日の金曜日に、思ったことを書いて悶々とした気分を発散し、ムンムン気分になろう。

 人間ドックで膵管拡張が発見されたのは2010年のこと。CT検査と超音波内視鏡検査を受けた。
 結果はシロだった。

 翌2011年のドックでも膵管拡張が指摘され、CT検査を受けた。
 結果はシロだったが、膵臓表面がざらざらしているとわけのわからんことを言われた。わけがわからんというのは、それが正常なのか異常なのか、多様な事例の1つに過ぎないのか説明されなかったからだ。また、そのとき医者は私の飲酒状況を聞き、予言者のように「汝、いずれ膵炎になるだろう」と言った。
 2年後にまた来院するようにも言われたが、その後私は転勤したので予言者の言葉を無視したままだ。

 が、小心者の私はただ転勤したから行くのを止めたというのではない。
 ここ転勤先で受診したドックでは、12年も13年も、そして今年も膵管拡張は指摘されていない。
 見落とされているのだろうか?いや、3年続けて見落とすなんてことはないだろう。ただ気がかりなのは、脂肪肝が邪魔してエコー検査で膵臓が見えにくくなっている可能性がないとは言えないということだ。

 仮に膵臓が弱っているとなると、インスリンの分泌が満足に行なわれなくなり、糖尿病になる可能性がある。
 また、もともとかなりの高水準にある中性脂肪は膵炎を起こす危険性をもっている。
 となると、遺伝に加えこれらが絶妙にリンクして糖尿病面で徐々に私を正常から境界型へ誘導したのではないかと、疑いを抱いてしまう。

 ただ、まだ1ヵ月半ほどだが、主食を減らすことによって体重が4kgほど落ちている。
 ということは中性脂肪の値も下がってくれていることが期待できる。先週も採血したが結果は次回聞くことになっている。正直なところ、早く知りたい。
 値は間違いなく下がっているはずだ。そうでなければ、炭水化物節制ダイエットの効果はあらゆる数値を改善するという、その手の本の説を私1人のせいで否定することになってしまう。

 だが、もし相変らず中性脂肪の値が下がってなかったら、私にはもう安直な対応策がない(酒を制限するのは安直とはまったく言えない、無理な相談というべきもの)。

 それが1週間考えていたことだ。
 こう書いてしまうと、実にたいしたことないことを考えていたものだ。

 酒にまつわる曲としてマーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の「大地の歌(Das Lied von der Erde)」(1908-09)。全6楽章のうち第2楽章と第4楽章を除く4つの楽章の歌詞に酒やら杯が出てくる。

 第1楽章の歌いだしは「黄金の杯を満たす美酒」と言いながらも「飲む前に1曲歌おう」とお預けをくらわす。最後には「杯を底まで飲み干せ」と強要。急性アルコール中毒を起こしたらどうするんじゃい?
 第3楽章では着飾って飲ミニケーションしてるし、第5楽章ではデロデロになるまで酔っぱらい、終楽章では友と別れの盃を交わす。

 さて、本日も若杉弘/東京都響の演奏を取り上げる。
 独唱はアルトが伊原直子、テノールが田代誠。
 1991年ライヴ。

 第3番や第4番、第6番では、どこか他人行儀で欲求不満が残る、アタイをイライラさせたいのかい?という若杉だったが(T.Tさんのコメントに納得させられた)、「大地の歌」は録音でもなかなか良い演奏だ。
 この曲が、マーラーのものとしては響きが重層的ではなく室内学的なところが多く、またこの世は無情だわいという性格なために、若杉の丁寧なアプローチがマッチしているのだろう。
 オーケストラも繊細で美しく、歌手2人もややがなってるかなと感じるところもあるが、ドラマティックな歌唱。このあたり、オペラ指揮者としての若杉の本領発揮というところ。
 日本人指揮者による「大地の歌」としては高水準と言えるのではないだろうか?