河野友美著「『食べる健康』早わかり事典」(三笠書房)。 たまにこういう本を読みたくなる。そして内容に文句をつけたりなんかするいけないアタシ……
勝手な思い込みで、それは私が悪いが、著者の名前からいい感じの女性を連想。でも、1929年生まれだって。そんなことで悲しくなった私。
こういう内容の本って、やっぱりある程度旬な年齢の人が書かないと最新情報が載っていないような気がしちゃうのだ。もっともこの本の第1刷は1996年だというから、定評あるロングセラーなのかもしれない。何しろ著者は河野食品研究所所長で著書多数なのである。
偏見をもつ私がどうかしている?
そうよ、どうかしているのよ、ワタシ。
でも、ハテ?と感じるところもあったのは事実。
例えばタンニンに関するところ。
《したがって食事をしながらコーヒーや茶の類を飲むことは、鉄分の吸収によくない影響を与えるのである。……では、コーヒーや茶の類は絶対よくないのかというと決してそうではない。タンニンを含んでいても、食後に飲めば鉄の吸収を妨害することはない。それは食べてしまった食物と、食後の飲料が混ざることはないからである。 胃の中に入った食物は、胃壁から層状にたまっていく。そして、それが順次消化されていく。したがって、はじめに食べたものと、後に食べたものとが、均一に混合してしまうことはない。そのため、食後に飲むコーヒーや茶の類は影響を与えないのである》
そうなの?均一に混合しないまでも、後から飲んだコーヒーはその前に食べて溜まっている食物に浸み込んでいかないの?そんなにぎっちりと溜まってるの?
ゲロを吐いた時に、それが地層状になっているって経験はないけど……私には。
“類(たぐい)”っていう言い回しも、すっごく久々って感じ。
でも、漬物についての文では、こんな風な記述がある。
《漬物などの強い乳酸が胃に入るとペプシンが活性化して、消化液の働きがよくなるのだ。とくに、ペプシンはタンパク質の消化をするから、タンパク質の多い食事の後で食べる漬物は有用である。……なお、漬物は食塩を多く含むから、よい食品だからといってとりすぎはよくない。食事の最後に食べて、気分をさっぱりする程度が適当である》
おやおや?
さっきの話からすれば、最後に食べた漬物はずっと胃袋の中の食物のいちばん上に鎮座したままのはずだ。なのに胃の中のペプシンを活性化しちゃうのかしら?
どんな楯をも貫く矛と、どんな矛にも貫かれない楯のお話を思い出しちゃう私はいけないペプシン小僧?←極端に意味不明。
そんな意地悪な読み方をすれば、ほかにも眉にツバ的なものが。
《凍り豆腐(高野豆腐、しみ豆腐)には乾燥した状態のもので100グラム中に50グラムものタンパク質が含まれる。見かけの量が少なくても、これだけたくさんのタンパク質がとれる食品は少ない。しかも凍り豆腐に含まれる大豆タンパク質は、植物性タンパク質の中でも栄養的に優れている。動物性タンパク質のようにしつこくないのもいい》
見かけの量が少ないって、乾燥重量100グラムの凍り豆腐を調理したらいったいどれくらいの量になるだろう?たぶん、食えない。それに、水で戻したところでタンパク質そのものの量は変わらないから、結局タンパク質は50グラムである。これだけたくさんのタンパク質、じゃあないっすよ。それに、そんだけ食えばしつこいっすよ。
バターのところで、《バターのコレステロールは100グラム当たり210ミリグラムと、大変多いように思われる。しかし、実際に100グラムものバターを1日に食べる人はいない》と書いているが、まったくそのとおり!
でも、あなたは凍り豆腐は乾燥重量レベルで100グラムを食べなさいっておっしゃるのね……
こうやって読んでいくと、ウソは書いてはいないんだろうし、有益な情報の方がもちろん多いのだろうけど、何でもかんでも鵜呑みにするのは危険って感じがしてくる。
まっ、何でもバランスよく摂取するってことなのね。
それができている人は、そもそもこういう“類”の本は買わないんだろうけど……