金曜日の朝。
いつものように早起きし、PCを起ち上げ、ブログ記事の最終手直しをしたあとアップ。そのあと登録しているランキングサイトに、これが記事繁栄につながりますようにと記事反映のPing代理送信処理を行なった。
しつこいようだがいつものことで、どの一般的な家庭にもみられるのどかな光景だ。
さらに、これもいつものようにポイントサイトに入って、今日のプレゼントに応募した。
これとて、家族のために洗剤セットを当ててやろうという、ふつうの良心的な世帯主に見られる行為だ。
そのあと新聞を取りに行き、新聞を読み、ひげを剃り、シャワーを浴び、食事をし、歯を磨き、スーツに着替え、さてもう一度PCに向かってシャットダウンしようとしたら、見かけぬものが表示されている。
英語のメッセージが現れたり、ウイルスチェックをしている画面がうるさく、かつせわしなく表示されているのだ。
なんじゃこれ?
変なものをダウンロードしちゃっただろうか?
いや、どう考えても、ブログをアップした後に行なったことはひげを剃ったり、シャワーで肌に磨きをかけたり、目玉焼きを食べたりしただけで、新たなプログラムをダウンロードした記憶はない。一般的には“変な”と言われるサイトを訪問してもいない。
デスクトップには立派と言えば立派、気持ち悪いと言えば気持ち悪いショートカットが作られているし、画面下部のメッセージセンターの旗マークのアイコンには赤い×印が表示され、そこをクリックすると、不正だか危険なプログラムがなんとかいう警告メッセージが私に警告を発していると同時に恐怖感を与える。
やばい。
もしやこれってウイルスか?
ウィルス対策ソフトは機能しなかったのか?(昨日(事件が起こった翌日)になって、このPCに入っているウィルス対策ソフトから新たなウィルス・パターンを更新というメッセージが表示された。こいつにも対処できるようになったのだろうか?)
けっこう動転したし、仕事に出かけるまであと20分しか残っていない。かといって、このままシャットダウンして出かけるのも義理人情に欠ける。
「お客様、落ち着いてください」という、飛行機が操縦不能に陥った時に客室乗務員が発するセリフのことを思い出し(ただしドラマ)、まずは再起動してみる。
同じようにスキャンしている画面。警告メッセージ。
そしてさらに、“このウィルススキャン・ソフトを買え”みたいな画面に切り替わる。お値段99.99ドルのこのソフト。その名もSystem Care Antivirus。
どうやら、このソフトを購入すると、あなたが困惑しているこの現象が治りますよと言いたいらしい。英語はよくわからないが、感情というものはなんとなく通じるものである。
話は一挙に先に飛ぶが、その日の夕方(職場で)ネットで調べたら、ウィルスに感染したと見せかけ、そのソフトを買わせようとするウィルスプログラムらしい。
話を一挙に戻す。
そして画面には他にも英語のメッセージが表示され、×をクリックして消しても次々襲ってくるやぶ蚊のようにすぐに再表示される。
まずはショートカットをゴミ箱に捨てる。もちろんこれでは病状は変わらない。
“すべてのプログラム”を表示させると、System Care Antivurusの名のフォルダが勝手に出来上がっていたので、これも削除する。病状にまったく変化なし。
コントロールパネルを開き、“プログラムの追加と削除”を実行。ところがこの名のプログラムは表示されない。つまりアンインストールのしようがない。
同じくコントロールパネルで“システムとセキュリティ”→“アクションセンター”でセキュリティを調べる。ウィンドウズ・ディフェンダーが無効化されている。が、有効化しようにもいうことをきかない。システムの復元を試みるが、これまた実行できない。
ネットで調べようとするが、インターネット・エクスプローラー(IE)も動かない。
これでは手の施しようがないではないか!
まいった……
ここまで15分ほどだったが、私にはとてもとても長く感じた。
何度も出てくるメッセージやスキャン中の画面を×をクリックして消し、そしてまた現われというまさにイタチごっこをしているとき、時折見かける“このなんたらをマイクロソフトに報告しますか?”という、マイクロソフトのメッセージが表示された。
そこで“送信”をクリックしたら、すぐにこいつらは初めから何もなかったかのように消えた。
早く出てきてよ~
インターネットも使えるようになったし、システムの復元もできるようになった。
そこで3日前の復元ポイントを使ってシステムを復元。
出勤時間ぎりぎりで、厄介者を駆除することができたのだった。
帰宅してからウイルス対策ソフトでスキャン。
果たしてインストールしているソフトがあのSystem Care Antivirusにすでに対応しているかどうかはわからないが、スキャンの結果は問題なし。私の肝臓とは違うものだ。あっ、あれはスキャンじゃなくてエコー検査か……
上のサイトの説明に従ってレジストリを確認したが、これも問題なかった。
それにしても、消しても消しても執拗に表示されるウィルスソフトの画面は、まるでシューマン(Robert Schmann 1810-56 ドイツ)の交響曲第2番ハ長調Op.61(1845-46)の第2楽章のようなしつこさと、また私の焦りとイライラ感も、この曲の第2楽章のような感じであった。
この曲については前に詳しく書いているので内容については触れないが、とにかく私はこの第2楽章を聴いていると居心地が悪くなる。
ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で。
ハイティンクの演奏は、聴き手を高揚させるようなことはしないが、スケール感があって安定している。安心して聴いていられる演奏とでもいうのだろうか?
1984録音。フィリップス。
私の場合は、上記サイトにあるようなセーフモードで起動し処理するという必要はなく終わることができた(そのような事態に陥った場合、まずはショートカットを削除した私の行動は軽率だったことになる)。
が、マイクロソフトに状況を“送信”した直後に、少なくとも見た目には跡形もなくなったのはある意味不思議である。
回復後、あらためてWindows Updateを行なったが、IEのヴァージョンが10に更新された。
すると、今度はこの、ブログの編集画面の表示が微妙に変化した。気に食わないが進歩についていくしかない。